ウィーン菓子“SACHER TORTE” ― 製菓職人熊谷正雄2019年01月05日 23:10

伝統的なウィーン菓子、サッハ・トルテを正月に食べるのが恒例となっています。1月3日の期日指定、八ヶ岳からの取り寄せです。

 店名:ミラベル in 八ヶ岳
 オーナーシェフ:熊谷正雄
 商品名:“SACHER TORTE”



平成31年 1月3日(木) 午前便にて到着


シンプルで清楚な白い包装紙を開けると


内箱には“SacherTorte”のラベル


チョコレートの形状を保つため細心の梱包が施される


1983年(昭和58年)名古屋瑞穂区八勝通にて創業


派手さはないが、持つと重量感が手に伝わってくる


加温した包丁で切り分ける(まだまだだなぁ・・・)


甘さを抑えたホイップクリームを添えていただきます


断面拡大画像。コーティングのシャリシャリ感は伝わるか


サッハ・トルテは19世紀前半のウィーンに登場した素朴な菓子です。チョコレートスポンジの間にあんずジャムを挟み、周りをチョコレート・アイシングでコーティングしたものです。コーティング層をショコラーデ・グラズールと呼びこのケーキを特徴づけています。

熊谷シェフはもともとは菓子業界の方ではなく異業種からの参入です。サッハ・トルテだけでなく広く菓子製法の伝統的技術を習得するため、35歳のとき会社をお辞めになり、本場ウィーンに渡り菓子職人から2年間学びます。

帰国後の1983年(昭和58年)名古屋市瑞穂区八勝通に「コンディトライ・ミラベル」を立上げ、そこで15年間営業をつづけます。店舗名ミラベルはサルツブルク市にあるミラベル宮殿にちなんで名付けたと伺いました。

1999年(平成11年)4月、名古屋を離れ、山梨県八ヶ岳に「ミラベル in 八ヶ岳」をオープンします。ウィーンに似た八ヶ岳周辺の自然環境に強く魅力を感じたことが移転の大きなきっかけとなったそうです。

「ミラベル in 八ヶ岳」開店の案内


熊谷シェフのサッハ・トルテを初めて食べたのは名古屋時代の最後の方です。職場の上司が買って来てくれて薬局のみんなで食べたのがきっかけです。よほど気に入ったのか以降途切れることなく現在に至ります。

初めのころは包丁の入れ方を何度も聞きました。
熱した包丁で切り分けるのが正当で、刃面の温度管理、包丁の動かし方などチョコレートを割らないための手技が要求されます。集中しないとすぐヒビが入ってしまうデリケートな作りですから、包丁を手にする際は緊張します。

サッハ・トルテは何が魅力なのでしょう。
外側コーティング層のショコラーデ・グラズールはサッハー・グラズールとも呼ばれ、深みのあるチョコレート風味と上品な甘みに加え、シャリシャリと砕ける独特の食感はほかのケーキにない個性です。私はこれがたまりません。
ただ、ほかで食べたサッハ・トルテ(ザッハ・トルテ)は熊谷シェフのとは違うものばかりです。特に鼻に抜ける風味とシャリシャリ感が異なります。本場のサッハを一度食べてみたいです。
Sacher Torte | Oberlaa


元旦のブログを見たミラベルのマダムからメールをいただきました。
シェフは、ホンダ、日産といった国産以外にアルファロメオ、ボルボ、ベンツ、BMWといったヨーローッパ車を乗り継いだ遍歴の持ち主だったそうです。もちろん車好!
体調を崩され運転は控えるようになったそうでちょっと残念です。

八ヶ岳。雪の心配がない季節に行ってみようかな。