中央構造線 ― Median Tectonic Line(MTL)2016年04月18日 23:30

熊本を中心に大きな被害をもたらした地震はいまだ収束していません。
テレビや新聞の解説でここ最近中央構造線という言葉を耳にするようになりました。しかし地学に関わっていない人には馴染みのない言葉ではないでしょうか。

日本唯一の中央構造線を主題とした博物館が長野県にあります。
南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク・大鹿村中央構造線博物館

ここには先月行ってきたばかりです。
仇も恨も是まで是まで

中央構造線に関わる資料が豊富にあり勉強するにはとても頼りになります。先月訪問したときは本を2冊買ってきました。

 『中央構造線の始まりから現在まで』
   高木秀雄講演記録
   2013年10月26日

 『東アジアの白亜紀変動と中央構造線の始まり』
   大塚勉講演記録
   (2015年4月 増刷)
   1999年11月23日

『東アジアの白亜紀変動と中央構造線の始まり』と『中央構造線の始まりから現在まで』

高木秀雄先生の講演は2013年10月26日に行われました。
高木先生については早稲田大学のウェブサイトを参照ください。
教授紹介|プロフィール 高木秀雄

『中央構造線の始まりから現在まで』では、質疑応答で原発について語っています。引用します。

=== ここから ===
Q2:疑問なのは、今の原発の話しもそうですが、今日の先生のお話で左横ずれからどういう経過で右横ずれになっていって、それが活断層っぽいという話も非常に貴重な話だと感じました。
 その話の延長でいくと、四国の佐多岬に伊方原発があって、活断層がすぐ近く、5kmか6kmのところの海底に走っているという話ですが、愛媛県あたりが活断層っぽいという報道なども見ていますが、そこら辺の解釈をお願いします。

A:伊方原発の近くの活断層については、私も十分知識がないのですが、ただ、中央構造線からも近いわけです。佐多岬ですから、場所としては、この辺になりますか。
 少なくとも四国の中央構造線に関しては、地形的にはAクラスの、日本の中では活動的な活断層です。
 地震を起こす頻度は大体1000年に一度ぐらいです。ただ、一度起こってしまうと大変な災害をもたらす可能性はありますから、やはり原発の敷地、あるいは敷地のそばではなくても、とにかく地震を起こす可能性がある。それはやはり、1000年スケールで物を考える必要があると思います。それはこの間の津波でも同じです。
  そういう意味では、やはり、浜岡もそうですが、あれば南海トラフの方ですが。
 伊方の場合はそういう活動的な中央構造線に近くて、大分県でも実はこの中央構造線の延長の断層があって、地形的にもはっきり右ずれということがみえますので、やはりその間が、海峡も含めて活断層が調べられていますから、そういうところは十分にそのことを考慮した上で、原発の再可動なり、あるいは取りやめていくことを考えなくてはいけないと思います。
=== ここまで ===

現在は川内原発だけが稼働中です。
今回のような大規模地震があったにもかかわらず、安全に停止させるという発想はまるでなく、我慢大会のように稼働しつづけています。
原発推進派の人々は何を優先して判断しているのでしょうか。
生命の優先順位を知りたいものです。