昨年読んだ本2024年01月02日 07:25

年始はのんびり過ごしながら本の整理もしています。昨年は、仕事関連以外では、政治や経済、教育を語った本を多く読んでいました。たとえばこんな本です。


斎藤幸平さんの『ゼロからの『資本論』』は出版後すぐに読んだ一冊です。
ゼロからの『資本論』(斎藤幸平 著)

冒頭で引き合いに出される引用はオチが秀逸です。
=== ここから ===
 にもかかわらず、資本主義を正面から批判し、資本主義を乗り越えようと主張する人は、日本には相変わらずほとんどいません。なぜでしょうか?
 そんな日本社会の状況を考えるきっかけとして、ある有名なジョークを引用したいと思います。

 ある男が、東ドイツからシベリア送りとなりました。彼は、検閲官が自分の手紙を読んでいることを知っていました。だから、友人にこう言ったのです。「暗号を決めておこう。もし、俺の手紙が青いインクで書かれていたら、手紙の内容は真実だ。だが、もし赤いインクで書かれていたら、それは嘘だ。」1ヶ月後、彼の友人が手紙を受け取ると、すべてが青いインクで書かれていました。そこには、こう書かれていたのです。「ここでの暮らしは大変素晴らしい。美味しい食べ物もたくさある。映画館では西側の面白い映画をやっている。住まいは広々として豪華だ。ここで買えないものと言ったら、赤いインクだけだ。」
=== ここまで ===
こういうエッジの効いたジョークは好きです。
この本は「脱成長コミュニズム」の現実を主軸として書かれています。大きなことはできませんが、give and take の領域を増やすことで良いなら私でも関わることができそうです。



英語教育の本を読みました。
迷える英語好きたちへ(鳥飼玖美子、斎藤兆史 著)

積読だった本です。
戦前を含めて日本の英語教育の歴史を語ったものです。
年末には鳥飼玖美子さんの新著を読みました。人それぞれの勉強法について語ったものです。
『やっぱり英語をやりたい!』( (鳥飼玖美子 著)
タイトルにある通りやっぱり英語を身に付けたいです。



知識ゼロからの現代史入門―アメリカ・ロシア・中国・パレスチナの60年(青木裕司 著)

2001年(平成13年)の米国同時多発テロ「911」をきっかけに書かれた本です。
2023年(令和5年)10月7日、イスラエル軍とハマスとの戦闘が起こったのを機に再び読みました。

ページを開くとこんな感じです。青木先生らしい書きっぷりです。
「イギリスが悪い」
想定読者は世界史を選択していない人たちです。塾の講師だけあって分かりやすい表現に徹しています。高校時代は世界史選択でしたけど、このあたりはほとんどスルーだったので、文字通り知識ゼロのまま大人になってしまいました。この本で改めて勉強しました。
しゃべっぷりはこんな感じです。「植民地」の解説動画のリンクを貼ります。
東南アジア近現代史(1)東南アジアってどんなとこ?



中東政治の第一人者といえば高橋和夫さんでしょうか。高橋先生のことは先の青木先生の本で知りました。
地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域(高橋和夫 監修)
一昨年夏に買ったときは、中東全域を網羅する教養・娯楽的な読み物として開いていました。パレスチナがまさかこんな酷いことになるとは思ってもいませんでした。

映画『アラビアのロレンス』を高橋先生が語るとこうなります。
「アラブ人が見たアラビアのロレンス」
=== ここから ===
アラブ人を先導しオスマンの弱点ヒジャーズ鉄道を爆破した男は、アラブからすればイケメンの英雄ではなく、ただの英国の一工作員。
=== ここまで ===

高橋先生は国際政治学者としても活躍されています。YouTube に音声配信があります。
220903 今朝の思い(47)ゴルバチョフと北方領土 - YouTube
冒頭からの約30秒は高橋先生のお約束?



内田樹さんと白井聡さんの対談本です。
新しい戦前 この国の"いま"を読み解く(内田樹白井聡 著)

思想家でもあるこの二人の語りは、同意できるできないは別として、読む価値の非常に高い本だと思います。
個性豊かな表現者です。ブログとPodcastからそれぞれリンクを貼ります。
大阪万博は中止すべきだ - 内田樹の研究室
No.26 今こそ、地獄を生き抜くルールブック『資本論』を読め!
SIGHT RADIO 渋谷陽一といとうせいこうの話せばわかる!政治も社会も
『新しい戦前』。本の表紙はすこし厳ついけど、語り口はいたって柔らかいものです。三段重ねのお節料理みたいに話題豊富で、どの話も飽きることなく最後まで読み進めることができました。

コメント

トラックバック